研究テーマ


核融合プラズマ(完全電離プラズマ)の電磁流体的平衡、及び安定性解析を中心に研究しています。 現在はこれらを基盤に、トカマクの設計・制御、磁場解析、さらには超伝導応用へと研究を発展させています。 主に理論、数値解析が中心ですが、トカマク・プラズマや超伝導の実験も行なっています。

プラズマ物理・核融合

Virial限界コイルを用いたトカマク装置の研究

磁場と応力の関係を表す「Virial定理」に基づき、強磁場を発生するように最適化されたコイルを用いたトカマク装置です。小型装置ながら、1 T を超える強磁場の発生に成功しています。

先進トカマク運転に関する研究

TSC(Tokamak Simulation Code) コード等を用いて、先進トカマクの制御や、Disruption回避に関する研究を行なっています。

コンパクト炉におけるα粒子閉じ込め

 核融合炉を設計する際には、核融合反応の結果生じるα粒子(ヘリウムの原子核)の閉じ込めは重要な問題である。 本研究では、経済的な核融合炉として期待されている球状トカマク(ST: Spheical Torus)装置におけるα粒子の閉じ込め計算を、軌道追跡モンテカルロコードを用いて行なっている。 計算には、超並列計算機である、Grid Computerを用いている。 なお、本研究は、 日本原子力研究開発機構・那珂核融合研究所との共同研究である。

レーザーを用いた散乱測定による乱流密度揺動解析

 磁場閉じ込め核融合装置において、その閉じ込め性能はプラズマの乱流現象に強く依存する。 この現象を解明するために、 核融合科学研究所 大型ヘリカル装置 (LHD) では、CO2レーザー干渉計により電子密度揺動を計測している。 本研究では、超高速ネットワークであるSINET3を用いて、核融合科学研究所にある大量の乱流データを取得しデータを解析するとともに、異常輸送現象を理解するための研究を行なっている。

トカマクの放電開始現象の解析

磁場中での放電開始現象を衝突電離モデルに基づき解析し、計算結果を実験と比較し、定量的な一致を得た。

核融合中性子を用いた核変換の検討

 核融合炉の実用化を早めるために、 長寿命核分裂生成物の核変換を主目的とした 中性子源としての核融合利用を検討している。 その例として、 半減期が1570万年であるI-129の実効半減期を 1.0 MW/m2 の中性子束で2年以下とし、 トリチウムをほぼ自己供給可能なブランケット構造を、数値的に求めた。

超伝導応用

Virial定理による超伝導磁気エネルギー貯蔵用コイルの最適化

超電導コイルを用いてエネルギーを貯蔵する場合、 蓄えられる磁気エネルギーは コイル及びその支持材の質量で制限されることが知られている。 この関係をVirial定理と呼ぶが、 従来の超電導磁気エネルギー貯蔵(SMES)用コイルは、 その理論の示す上限の数分の1のエネルギーしか貯蔵できなかった。 我々は、コイルの巻き方を工夫することで、 理論の上限までエネルギーを蓄えうるコイルを提案し、 製作、実験を行った。

超伝導ケーブルの分流に関する研究

超伝導ケーブルは、多数の超伝導素線から構成されています。 このケーブルに設計値通りの電流を流すには、すべての素線に 同じ大きさの電流を流す必要がありますが、超伝導であるがゆえに 素線間の電流値にバラツキ(分流)が生じます。 本研究では、逆問題の手法を適用し、分流現象を解明しました。

H. Tsutsui.

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