トカマク型核融合装置は、プラズマ電流が作る磁場によりプラズマを閉じ込めています。 そのため、ただ加熱しただけでは、プラズマはつきません。 そこで、トカマクでは、誘導起電力で高電圧を印加することで絶縁破壊を起こさせ、プラズマ生成とともに プラズマ電流を流すことで、放電を開始させます。 装置設計においては、この放電開始時の高電圧低減が重要な課題となります。 プラズマ電流が流れ出すまでは、プラズマ自身が閉じ込まらないので、 電圧低減のためには、容器内に余分な磁場を作らないようにする必要があります。
また、最近注目されている球状トカマクにおいては、 プラズマ電流を駆動する中心ソレノイド・コイルをなくし、 代りに、プラズマ位置制御用のコイルによる誘導起電力でプラズマを着火させる研究が始まっています。 位置制御コイルは、真空容器内に垂直磁場を作るので、 プラズマ着火は非常に困難です。
そこで、私たちは、渦電流や衝突電離過程を考慮した計算コードを開発し、 放電開始現象の解析を進めています。